07 February

おわび会見、涙の理由は

東横インのおわび会見がニュースを賑わせている。

ホリエモンの事件に目立った進展もなく、耐震偽装問題にも飽きたマスコミが次のバッシングのターゲットに選んだのは東横インであった。

涙の謝罪会見をする東横イン社長に対し、ＴＶは「手のひらを返したような」とか「変わり身の早い」とかいったネガティブなコメントを寄せていた。

確かに先日の会見の報道では「制限時速６０ｋｍのところを６６〜７ｋｍで走る程度の法令違反だ」とか「いくつもあるホテルのすべてに目を光らすことは無理だ」といったような傲岸不遜とも取れるコメントばかりが強調されていた。

ＣＳＲ（企業の社会的責任）やら、コンプライアンスやらといったものが重視されるようになった昨今、あまりにも軽率な発言であったのは事実だ。
おそらく、こういった不祥事に対する危機管理ができていなかったのだろう。

しかし、「手のひらを返したような」とか「変わり身の早い」とかいった表現が当てはまるのはマスコミのほうではないのか。

今回、「ターゲットが東横インに決まった」となるや、ＴＶ各社は過去の東横インの映像、インタビューその他映像素材をかき集めてきた。
しかし、そのほとんどが、不況の中業績を伸ばしている「勝ち組東横イン」を取材したものである。
東横イン礼賛特集を再構成して、悪の巣窟東横インを作り上げるのである。

９５％が女性といわれる女性従業員比率ひとつとってみても、往時は「男女の区別なく女性を活かす職場」といっていたものを「深夜まで女性をこき使う配慮のない職場」へと評価を変える。
以前の取材の際に知り合ったであろう従業員を呼び出し「従業員の生出演に成功した」等と称して会社への不満を語らせる誘導インタビュー等も忘れてはならない。

昨日のヒーローは今日の悪役である。
持ち上げ方も叩き方もホリエモンと同じである。

これまで、東横イン社長を不況の時代の成功者として持ち上げてきたマスコミ。
社長にしてみれば、マスコミはこれまでどおり仲間だから、きっと会見を開いたらわかってくれると思ったのだろう。
いつもどおり、本音で持論を展開した。
それが先日の会見であろう。

しかし、マスコミどもは冷たかった。まさに手のひらを返したような対応。総たたきが始まり、本業に影響を与える始末。
あっという間に悪役に仕立て上げられ、裏切られたのは東横イン社長のほうである。

おわび会見の涙、それはマスコミに裏切られ、もてあそばれたことへの悔し涙だったのではないだろうか。
そんな風に思えてならない。