Archive for November 2005
30 November
民主党狙い撃ち
民主党衆院議員の西村真悟が逮捕された。前原民主党発足以来、国会議員がらみの不祥事は4件目だ。
代表就任の翌日に覚せい剤取締法違反で小林憲司が、10月に入って公選法違反で計屋圭宏が、それぞれ逮捕された。
さらに五島正規の政策秘書も公選法違反で逮捕されている。
まだ発足後たった2ヶ月なのに大変である。
別に擁護するわけじゃないが、なんだかおかしいと思わないだろうか。
どうもこのところ民主党ばかり狙われている気がする。
自民大勝の裏で何かあったんじゃないかと勘繰りたくもなる。
もちろん、こういった脇の甘さが大敗につながったのも事実だろう。
しかし、実際のところ、お巡りさんは公選法違反も落選者しかまともに捜査しないし、検挙しない。
いや、正確にはあまり派手に何かやらかした場合は別として、当選した候補者の身辺を深くは詮索しない。
しかし、落選候補に対してはかなり深く身辺を暴く。
これは残念ながら事実である。
本当に、自民党候補はおかしなことをやっていないのだろうか。
また、逮捕された民主党の議員・前議員らは、この間の選挙の際に初めてこれらの犯罪に手を染めたのだろうか。
議員になる前からやっていたのではないか。
議員任期中はなぜ司直の手が伸びなかったのか。
偶然にしてはなんとなく作為的なものを感じてしまうのは、自分がへそ曲がりだからというだけだろうか。
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victor |
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29 November
1985年
つなぎ記事にはブックレビュー。ちょっと前に読んだ本。
1985年
新潮新書
吉崎 達彦 (著)
ちょうどプロ野球のシーズンが終了した頃話題になっていた本である。
その頃、TVなどで「20年前と今の経済・社会の情勢がとても似ている」なんて話題の際には必ず引き合いに出されていた。
中には作者自身が出演していたものもある。
このとき、マスコミで20年前と現在の比較をする際、そのきっかけとなる共通の出来事は必ず「タイガース優勝」であった。
だいたい、タイトルだけで虎信者なら買っておきたくなる。
そして、その期待を裏切ることなく、そのことについてもきちんと触れてある。
そう、作者は日商岩井総合研究所調査グループ主任エコノミストであるばかりでなく、阪神ファンの人。
作者のHPはこちら。阪神への愛もつづられている。
きっと、あのころのことを懐かしく思い出していたら、なんとなくいろんなところで符合してきたのだろうと思う。
いや、そう思いたい。
実際、この本はあの20年前の1年間だけを淡々と掘り下げていく。
シンクタンクの人が書いた本らしいレポートのスタイルで、読みやすい。
アマゾンのブックレビューによれば;
遠い過去のことは歴史として残っているし、ちょっと前のことであれば、誰かに聞けば分かる。ところが20年前は、ポテンヒットのような頃合いで、知っているはずなのに忘れていたり、正確に調べてみると思いがけぬ記憶違いをしているものです。
本書は1985年を政治、経済、世界、技術、消費、社会、事件という7つのアングルから描いています。プラザ合意、ゴルバチョフ登場、阪神優勝、日航機墜落、金妻、スーパーマリオなど、20年前への旅に出かけてみてください。
とのこと。
どうやら、この本は1985年って、どんな年だったっけ、というのを振り返る本のようである。
もちろん、その中で彼我の相似性にも触れられるが、あまり重要なものではないように感じた。
だからたぶん、こじつけである。
単に20年前も阪神が優勝した年だったけど、どんな年だったっけ、と振り返る気持ちの方がメインであるように感じる。
そういう意味では自分の愛してやまない清水義範の「もうなつかしい平成の年表」なんて作品に通じるものを感じる。
こちらは平成元年から11年までのクロニクルエッセイである。
もちろんああ、そうだったっけ、とか、そんなこともあったな、のオンパレードである。
将来のことを考えるのに疲れてしまった人はどちらも必読。
そんなときは、過去を振り返ってみると何か新しくヒントが見つかるというもの。
温故知新である。
ところで、その後20年前と現在を比較する際にむしろ「万年下位の弱小チームがブレイクした」との解釈で、85年のタイガースと今年31年ぶりに優勝したマリーンズを並べる論調が気になる。
やっぱし、負けちゃったからな。
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victor |
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28 November
ミート・ザ・ペアレンツ2
先日の記事で挙げたお勧め映画ミート・ザ・ペアレンツ2を観てきた。公開初日のレイトショーで観に行ったのだが、ハリー・ポッターの公開初日と重なったのもあり、シネコンではおまけ扱い。
145席の小さなスクリーンで観ることになった。
レイトショーとはいえ、観客は10人足らず。
笑いに来ている客ばかりなので遠慮なく笑えたが、なんとなくまばらな笑い声でさびしかった。
内容はドタバタコメディで最後はちょっぴりホロリとさせられるコメディの王道パターン。
ギャグはやっぱりシモ系のネタが多くて、日本人には評価の分かれるところだろう。
くだらないことで馬鹿笑いして発散していただけるような方ならお勧め。
多分早々に打ち切られる(汗)のでお早めに。
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victor |
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27 November
名門高校人脈
またまた話題の本を読んでみた。名門高校人脈
光文社新書
鈴木 隆祐 (著)
新書にしては分厚く、やや値段も高い。
進学の名門300校を厳選し、その有名卒業生1700人から読み解く名門の魅力と実力とのふれこみである。
自分は中高一貫校に進学し、地元を離れていたので、地元の同級生の友人関係はかなり薄い。
これがマイナスに現れるのが成人式で、事実上の中学校の同窓会と化すため、非常にさびしい思いをした覚えがある。
地元にうちの中学の同級生なんていないからである。
かように中学校というところはピンからキリまでさまざまな人材が、ただその地域に住んでいるというだけの理由で集まってくるが、高校になると学力別・階層別に分けられる。
「下流社会」の分類ではないが、地元であれば名門校から底辺校までの序列は常識で、その人の出身高校名からその人の人となりやバックグラウンド、人間関係まで予想できるというものだ。
そんな分析を全国300高校で調査したという頭の下がる本である。
ただ、残念なことにその300校の抽出がなんとも中途半端である。
著者も多少のバイアスがかかっていると言っているし、比較的歴史の浅い進学校などは名門とは言えないという論も理解はできる。
しかし、なにせ著者が東京の人なので、地方の状況をいまひとつつかみかねているのではないかと言う感が否めない。
地方公立高校では比較的進学率の高い老舗校を中心にピックアップしているので、当然新設の進学校の名前が落ちている。
地元の感覚で言えばあそこは名門校なのに、なんで?といったところだろう。
また、地域全入制をとっている地域では学校間に差がつかないので、突出した高校は生まれないのだが、その中からそれなりの学校を選び出して載せているあたりにも苦労がにじんでいる。
さらに、私立は大都市圏を中心にしたピックアップとなっており、地方の雄みたいな名門校が結構抜け落ちているように感じた。
この本を単なる「名門高校卒業生リスト」に終わらせたくないという危惧があったのかもしれないが、この際割り切って各都道府県における東大(あるいは地域トップの旧帝大)進学率トップクラスの学校を機械的にピックアップしていくような方法のほうが、わかりやすかったかもしれない。
実際のところ、「人脈」なんて書名のわりにはその人脈は実際どう生きているのよ、ってところについてはほとんど論評がない。
むしろこんな人たちが卒業した学校です、学校の雰囲気を感じ取ってください、と言うガイド的なところを狙っている。
そういう意味でこれまた書名に偽りありとも言える。
素直に単なる「名門高校卒業生リスト」にしてしまってもよかったかもしれない。
ぶっちゃけた話、自分も母校だけチェックしてあとはパラパラ読んで終わりであった。
申し訳ないが立ち読み推奨本である。
あ、でも母校が載っている人は買ってあげてね。
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26 November
ご臨終メディア
またブックレビューかよ。知人のブログで気になり買った本。
ご臨終メディア−質問しないマスコミと一人で考えない日本人
集英社新書
森 達也 (著)・森巣 博 (著)
このところ自分としてもずっと気になっていたメディアの偏向について、対談形式で斬っていく本。
視聴率(部数売り上げ)が欲しいが抗議は恐い、そんなマスコミが生み出す作られた情報を、何も考えない一般市民が善意のまま受け入れ、全体主義的な「世論」に変成させてしまうことに警鐘を鳴らす。
内容・テーマはよいのだが、対談・放談の類なので掘り下げが浅く、精緻な論にまでは踏み込めていないのがとても残念である。
また、かなり「反全体主義」の反動で左に振れている感が強い。
たとえば朝日−NHKの問題でも政治家がNHKに圧力をかけることを問題提起することはいいのだが、元々番組の内容がかなり陳腐であったとされることにはあまり触れない。
また、朝日への批判よりNHKへ、あるいは政治家への批判が目立つ。
反石原慎太郎の論調についても、「あれはダメですね」から始まっているので、なぜ悪いかについての言及がない。いや、なんとなくはわかるんだけれども、かなり省略されてしまっている。
また、この本では全体主義的なところからナショナリズム的なものが育ち、ついには戦前の軍国主義につながるかのように語られる。
一昔前のインテリといわれる人々が、反戦平和の発展系で反日主義的であった時代を引きずっている感がある。
世論の右傾化と全体主義化は話が別で、そこをつなげてしまうのはちょっと突飛過ぎるような気がするのだが。
そういった部分も、「公正な報道なんてあるわけがない、自分たちのポリシーを持って情報を発信しろ、間違っていたら訂正もきちんとしろ」というこの本の基本的な論調を逆手にとり、自分たちの立ち位置が偏っていることへの言い訳にしているとも読み取れる。
もうすこしの二人の作者の著作を読んでトーンを知っておいたほうが面白く読めたのかもしれない。
ともあれ、マスコミ論については秀逸なツッコミを入れているという点で実に面白い本である。
が、思想的に右傾化している人はフラストレーションがたまるので読まない方がいい。
自分みたいにSAPIO愛読しているような人は絶対ダメ。
素直にゴーマニズム宣言でも読んでなさい。
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victor |
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