Complete text -- "箱根駅伝に思う"

01 January

箱根駅伝に思う

新年明けましておめでとうございます。

愛読者の皆様におかれましては、旧年中は大変お世話になりました。
今年も時々好き勝手なことを書いて更新していきますので、どうぞご愛顧くださいますようよろしくお願いします。

ところで、正月になるたびなんだか納得いかないのが箱根駅伝中継の存在である。
箱根駅伝は、毎年1月2日と3日の午前中、日テレ系列で中継されている。
生中継するようになったのは意外と歴史が浅く、80年代からだそうである。
あれが正月の風物詩になっていることに、違和感を感じてならないのだ。

そもそも、自分はマラソン中継を見ていられない。
マラソンを最初から最後まで2時間以上見ていられる人の気が知れない。

マラソン中継なんて、ただ走っているだけで、何の面白みも感じられない。
最後の順位だけわかれば8割方の情報は得たも同様ではないか。
抜きつ抜かれつの見どころなんて本当に数ヶ所、トータルで数分あるかないかである。
だったらハイライトで見せ場だけ流して、結果を知らせれば、残りのほとんどの時間は不要ではないのか。
中継したいなら生中継なんてしないで、30分の録画番組くらいにしておけばいいではないか。

で、そんな自分がさらに箱根駅伝を気に入らないのはそれが所詮学生の大会であるということである。
学生さんの課外活動の発表会ごとき、TVで中継するほどのものじゃないでしょう、と。
ナベツネさん、学生の本分は学問なんじゃなかったのか。
プロじゃないんだから、中継なんかいらんでしょうよ。

そういう意味では元日の実業団のニューイヤー駅伝なら多分まだ許せるのである。
所詮はたかが大学の陸上部の駅伝競走を、なぜ全国放送で何時間もかけて流すのかがわからない。

さらに、種目の選択も納得がいかない。
駅伝に特別な価値でもあるのだろうか。

学生のスポーツの大会はどんなものでもTVで流すというなら話はわかるが、TV中継される種目は全く偏っている。
ラグビー、野球と並んでなぜ駅伝を流す必要があるのか。
サッカーやバレーボールは決して人気のないスポーツではないのに、なぜ流さないのか。
もっというと、例えばアメフトは、柔道は、アマレスはなぜ流さないのか。
もちろん絵になる種目とそうでない種目があるのはわかるが、その取捨選択には公平性を全く感じない。

もちろん、学生スポーツという意味では自分は甲子園の高校野球も、ラグビーやサッカーの高校生全国大会も、同様の理由であまり好きではない。
高校生の、所詮発表会程度のものを連日熱心に放送するのは馬鹿馬鹿しいとは思う。
地元の高校や母校が出たというなら応援のし甲斐があるだろうから、そういった楽しみもできるだろうが、ほとんどの人には関係ない大会を、関係ない人々がなぜ楽しめるのかが理解できない。

が、箱根駅伝はそれ以上に偏っている点がある。
甲子園は腐っても全国大会である。
しかし、箱根駅伝は「関東」大学対抗戦である。
「全国」大会でさえないのである。
関東の大学だけが参加を許される大会を、なぜか全国に流しているのである。

なんじゃそりゃ。
地元の大学が出場資格さえ与えられない大会を、関東以外の人はどう楽しめばいいというのだ。
むしろそれを楽しめというのは在京キー局の傲慢である。

お陰で、逆の現象も起こっている。
有望な高校生陸上選手が、圧倒的に関東の大学の陸上部に集中するのである。
全国放送で注目される箱根駅伝に出られるからである。
一方で有望な選手が採れずに地方の大学の陸上部の地盤沈下が進む。
箱根駅伝はそんなものにも加担しているのである。

世間には「正月三が日といえば駅伝だよね」なんて公言してはばからない人々がいるが、こういった人々の大半は箱根駅伝が全国の頂点を決める大会であるかのように思っている。
これはテレビ局の事前の煽りで「思い違い」をさせられているだけである。
例のごとく、TVお得意の情報操作である。

前後になるとドラマ性を高めたドキュメントをさまざまな番組で取り上げ、否が応でも因縁やら対決やらを盛り上げる。
究極的には土日の昼間のような視聴率の低い時間帯に事前の煽り番組まで流す。
こういったTVスポーツ中継のバラエティ化は昨日今日始まったことではないが、昨年の亀田−ランダエダで多少行き過ぎへの反省が取りざたされた程度で、TV屋どもの姿勢は基本的に全く変わっていない。

もちろん、正月なんてたいした番組もないからという理由で、ただなんとなく環境映像的に流しているだけの人も少なくないだろうが、こんな偏向した放送にチャンネルを合わせることで、視聴率向上に協力する必要もないだろう。

是非反箱根駅伝活動にご協力を頂きたい。


00:00:00 | victor | | TrackBacks
Comments

シャト wrote:

びくさんの言うことはもっともですが「反箱根駅伝活動」はいかがなものかと思います。
箱根駅伝の通過ポイントに、とある児童養護施設があります。その施設は毎年箱根駅伝中継でも取り上げられ、今年は入所中の子供達も紹介されました。
駅伝は子供達もかなり楽しみにしており、また、その施設を全国に人に知ってもらうために箱根駅伝の存在は大きいと考えています。私もその施設に少し縁があり、箱根駅伝がその付近を通過する時だけはテレビ中継を見ています。今年も子供たちの顔が見れてほっとしました。
一生懸命に走ってる選手達には申し訳ないですが、箱根駅伝は「環境映像的」に流しておいて、東京⇔箱根間はこんな道筋でこんなものがあるということをなんとなく知っていただくという見方もあるのではないでしょうか?
01/04/07 09:11:19

victor wrote:

シャトさん、新年早々のたわごとにまじめにコメントを寄せてくださりありがとうございます。

そうですか、そんな施設の紹介もあるんですね。
全然見ないので知りませんでした。

でも、たまたま「道筋沿いにある」からその施設「だけ」紹介するなんて、いかにも「ついでにいい事をしている」のがみえみえで本来あるべき姿じゃありませんよね。
だったらあの長時間の中継をやめて、全国のそういった施設を回る番組でもやればいいんです。(企画的には24時間テレビとかぶるかな)

またひとつ箱根駅伝の偽善ぶりが明らかにされました(笑)

ともあれ、別に反箱根駅伝活動(要するにチャンネルを合わせないだけ)を強制しているわけではありませんから、お好きならどうぞ♪

しかし正月のTV番組はスペシャルだらけで退屈ですよね。
細木某とか江原某とかなんてどうでもいいなぁ。
スケートもどうでもいいし、ドラマもどうでもいい、筋肉系をはじめとするバラエティはCMまたぎのひっぱりがイライラするし。

個人的にはお笑いのネタ番組がずっと流れていればそれでいいのですがねぇ。
01/06/07 18:15:37

シャト wrote:

この話題にこだわってすみません。でも、もう少し言わせてください。
「全国のそういった施設を回る番組」で視聴率がとれるでしょうか?みんなが見てくれるでしょうか?それに視聴者層は限られた人々になると思います。
今年の箱根駅伝は平均視聴率が28%前後の高視聴率でした。「偽善」であろうがなかろうが、福祉の世界に生きる私としては、このような放送の中にその施設が紹介されることに大きな意味があると思っています。普段、そんな施設に興味がない人に「偶然」見てもらうことが意味があると思っています。
正月のスペシャル番組が退屈なのはまったく同感です。しかし、私個人としては、お笑いがその最たるものだと思っています。
そして、来年の箱根駅伝で、また子供たちの笑顔が写ることを楽しみにしています。

失礼しました。
01/06/07 21:10:01

victor wrote:

シャトさん、これもまた真剣にコメントありがとうございます。
確かにシャトさんもちょっと熱くなってコメントされているのですが、自分としてもそのコメントの中に気になるキーワードがあったので、まじめにレスしたいと思います。

まず前提として、今回の記事は自分がTV局に持つ不信感をまとめたものです。

民放TV局はごく少数の人々が商業目的で運営している私企業でありながら、多くの人に大きな影響を与える力を持っています。
これは、公正かつ不偏中立でなくてはならないメディアでありながら、完全に不偏中立であることは難しいということです。

どこかでスポンサーの顔色を眺めながら、一方で公正中立を装っている、そういった偽善がまかり通っている報道に対しちょっと言いたい事も出てくるわけです。

今回の箱根駅伝の話題は、TV局が手前味噌で盛り上げるスポーツ競技に対して異を唱えているものです。

プロ野球で言えば、巨人戦しか報道しないし巨人のスター選手ばかりを取り上げるから、世の中に巨人ファンばかりが増えたのです。
で、一方で人気がなくなると中継もやめる。
プロスポーツの人気の片棒を担いでおきながら、ケツをまくってさようならです。
全く無責任です。
亀田三兄弟の件にしろ、PRIDEの件にしろ、利用するだけ利用して、盛り上げるだけ盛り上げて、選手たちは置いてけぼりです。

所詮私企業ですから仕方のない部分もあります。
でも、その影響力の乱用に対し、どうしても一言言いたくなって書いた記事です。

さて、シャトさんは特定の福祉施設が高視聴率の番組に取り上げられたことで箱根駅伝を擁護しておられます。

それに対し、自分はTV局がスポーツを取り上げる姿勢について問題視している観点からレスをつけました。
また、特定の施設に肩入れをすること自体にも疑問を投げかけたものです。

さらにそれに対しシャトさんは注目される番組の中で特定の施設が紹介されることに意義があるとおっしゃってくださいました。

上記に述べたことを踏まえて申し上げるなら、シャトさんの言う「毎年特定の施設を取り上げること」に意義を求める姿勢は「偏向」でしかありません。
但し、「現代福祉の問題を切り取る」意味で「特定の施設を定点観測している」というのならその手法はありかと思われます。
そこまでを偏向と呼んでしまったら何もできなくなってしまいます。
ここは難しいところだと思いますし、自分がシャトさんのご意見をあっさり否定できない点です。

が、いずれにせよここに箱根駅伝は全く関係ありません。

一方でシャトさんは箱根駅伝という高視聴率のソフトウェアに乗せることの意義を訴えておられますが、「高視聴率のソフトウェアに乗せる」ことでPR効果を狙うことは自分も否定しません。

しかし、箱根駅伝である必要は全くないのです。

もちろん、その施設は地域的にも「箱根」駅伝だから乗っかることができるのでしょう。
だったら、例えば出雲駅伝で島根のそういった施設を紹介してもらえばいいことです。
その場合、そういった施設を紹介するかどうかは確かに分からないですがね。
しかし、本来それが公正中立不偏であるということです。
この視点に立てば、他のマラソン中継も、福祉施設を取り上げないことを批判されなければなりません。

そう考えると、自分はスポーツ中継で福祉施設を取り上げること自体にやや疑問を感じます。
「ついで」でもいいから取り上げてもらうことに意義を感じているシャトさんと、「ついで」なんかで取り上げるな、きちっとどちらかの番組としてけじめをつけるべきだという考えの自分とで、もっとも意見の異なる部分だと思います。

さらに、シャトさんは「全国のそういった施設を回る番組」では高視聴率が取れないのではないか?とおっしゃっています。
それこそTV局の抱える最大の問題です。

ここは自分、おそらくシャトさんより過激です。

高視聴率にこだわることなく、ゴールデンタイムにそういった番組を放送すべきなのです。
TV局は例えば現代福祉の問題を切り取る番組を定期的に流し、皆に見てもらうための努力を惜しんではいけないのです。
有名タレントを使ったドラマの番宣番組を垂れ流すくらいなら、そういった見てもらえないかもしれない番組をバンバン宣伝すべきです。
そして、普段そんな施設に興味のない人々に「必然」で見てもらわなくてはいけないのです。
TV局は、その影響力をもってすれば、本来そのくらい重い十字架を背負ってもらわなければならないはずです。
が、残念ながら現状はまったく異なります。
ここに自分の憂いがあり、本ブログのモチベーションになっています。

以上をもって勝手ながらこの項についてはおしまいにしたいと思います。

ところで、シャトさんのコメントについてもうひとつだけ誤解を解いておきたいと思います。
「退屈な正月のスペシャル番組の中でお笑いがその最たるものだと思う」とのことですが、多分、シャトさんの言う退屈なお笑い番組は自分も退屈だと思っているバラエティの数々だと思われます。
ひな壇芸人やらリアクション芸人やらがだらだらとトークをするようなバラエティは全く知的好奇心が満たされず、退屈です。

自分が愛してやまない「お笑いのネタ番組」とは、落語家や漫才師がネタ直球のみで勝負する番組です。
淡々とたくさんの芸人の芸が見られる番組は、正月元旦午前中くらいしか見られません。
ああいう「話芸」はリスペクトされるべきであり、「お笑い」として十把一絡げにしてはならないと思います。

でも、そうはいいつつ「ダウンタウンの笑ってはいけない警察」と「たけしのお笑いウルトラクイズ」は見ちゃいました。
はい、低俗お笑い番組の最たるものです。
スミマセン。ゴメンナサイ。
01/08/07 03:00:07

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