Archive for March 2006

26 March

選挙とコスト

26日は横浜市長選挙である。
自分は横浜市民ではないのだが、昔の仲間が同日行われる補欠選挙に立候補した関係で、今回の選挙には比較的深入りしている。

ところで、今回の選挙、ちょっと珍しい運営を行うので話題だ。
即日開票とせず、翌日開票するのである。
投票は26日、開票は27日なのである。

即日開票にかかるコストを抑えるというのが目的だ。
夜8時で投票を締め切った後、開票作業を行えば作業は深夜まで及ぶ。
ここにかかる時間外手当などを削減するのだ。

選挙というのはお金がかかる。
ポスター掲示板などの事前の準備、ハガキや宣伝車燃料費など、選挙活動への公的負担、投票所の設営から投票当日の撤収までの管理にかかる人件費。
横浜市長選では約11億円弱の経費がかかるそうな。

そのうち超過勤務にかかる部分が約2億5千万強もあるとか。
この部分を節約しようというのである。

かといって、一部マスコミなどでこれが全部節約できるかのように報じているところもあるが、それは間違い。
実際は、開票の際にかかる人件費のうち、深夜残業割増などに相当する部分が節減され、3200万円程度の節減にしかならない。
お役所の人件費削減というだけで異常に興奮して鬼の首をとったかのように喜ぶ人々がいるが、そういう人々に限って早とちりしていて苦笑した。

残りの2億2千万の超過勤務手当はどこにかかるかというと、期日前投票の5時以降の対応の部分や、投票日前後の準備・監視・撤収の出勤にかかってくる。

選挙のときは普段直接選挙に関係のない仕事をしている市の職員がさまざまな業務に従事する。
前日土曜日の設営に4時間、投票当日は朝の6時ごろから投票を終え撤収する21時頃までの15時間、開票は投票終了の1時間くらい前から集合し、だいたい24時までで約7時間。
さらに選挙日は日曜日。
前日から準備すれば土日どちらも休日出勤であるからその分の割増も必要である。

役所が法を守らないわけには行かないので、例え無駄でもきちんと決められた人数の職員を投票会場に配置しなくてはならないし、労基法上割増賃金を払うのも当然である。

で、今回の措置はもともと職員が出勤している時間帯に開票作業を行うことで割増賃金を払わないですむようにしたのである。
ただし、この開票時間中はやっぱり他の業務を行っている部門から応援をもらうので、その分他の部局のサービスが低下する可能性がある。
ま、通常の即日開票に出た職員が翌日休むことを勘案すれば、これまでもサービス低下はあったことだろう。
が、今回の場合は午前9時頃から正午頃の短時間で集中してやろうというのだから、その分開票に関わる職員も増員することだろう。
これまでの「開票翌日休む職員」よりは今回「持ち場を離れる職員」のほうが多くなると考えられる。

開票作業終了までの3時間の間、サービスをちょっと下げ、開票結果の速報性を犠牲にして3200万を節約したとも言える。
市の財政規模からすればわずかな3200万だが、「現職の市長がいかにも思い切った改革を断行している」というイメージを選挙民に与えるためには十分な額である。
横浜は90年の市長選までは翌日開票だったらしいから、16年前やっていたことに戻しただけなのであるが。

ちなみにさすがお役所だと思ったところなのだが、開票結果の速報性についてちゃんと市民アンケートをとっている。
結果、どうしてもその日のうちに結果を知りたい市民なんて少数だったという後ろ盾を得ている。
ソツがない。

ともかく、翌日開票でやきもきするのは候補者とその関係者だけだということのようである。
殺すなら早く殺してっ、ってところである。
やれやれ。

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24 March

レイザーラモンの影響

たまには更新しないといけないので小ネタ。

先日見かけた風景。

コンビニの前の子連れ。
その前にハーレーに乗ったバイカーがやってきた。
缶コーヒーでも買いに来たといった風。

鋲を打った黒皮のジャンパーを着て皮パンツに皮ブーツ。
全身ばっちり決まっている。
一昔前のヘビメタみたいである。

すると突然、子供が指差して叫ぶ。

「おかあさん、ハードゲイだ!」

青くなる母親、気まずいバイカー。
引きつった笑いを浮かべながらバイカーはコンビニ店内へ。

レイザーラモンの影響恐るべし。


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22 March

WBC優勝おめでとう

いろいろとWBCについて書いてきたが、結局キューバを破り王ジャパンが世界一。

もう、ニュースはもちろん、あちこちのブログや日記サイトもこの話題でもちきり。
試合終了直後にテンションの高いまま更新したと思しき記事もいくつか目にした。
祝日の昼間に生中継されたというのもよかったのだろう。
TV局も高視聴率に大喜びである。

ただ、なんだかすっきりしない。
やったー、すごいぞ!と手放しで喜べない後味の悪さが残った。
それは例のヘボ審判騒動であり、トーナメントのシステムでもある。

しかし、何よりも国別最強チームが編成されなかったのではないかという疑念だろう。
プロのないキューバだけは間違いなく最強チームだったろう。
たしかに強かったし。

でも、そのほかの国はどうだろうか。
メジャーリーガーのトップ選手のうち、どれだけ参加したというのだろう。
チームとの契約を重んじるのもビジネスの世界では正しいことだ。
また、WBCで万が一怪我をしたときの補償もはっきりしないので不参加を決めたというのもわかる。

でも、「来られる人だけ来て下さい」なんて、学生のクラスコンパじゃないんだから。
やっぱり国を代表して戦うことの重みを感じて参加して欲しいものだ。

出場辞退続出の一方で、出場してくれたメジャーの選手の活躍はすばらしかった。
やっぱりメジャーリーガーはたいしたものである。
今回のイチロー・大塚の活躍ぶりにはメジャーのすごさを思い知らされた。
また、これでもしW松井や井口も帯同していたなら、もっとすごいことになっただろうなという想像をかきたてられた。
実に惜しい。

ところで、今回日本が優勝したおかげで一番ほっとしているのは松井秀喜あたりではないか。
これで負けでもしていたら、彼が参加しなかったことへの風当たりは相当強くなっただろう。
井口なんて、辞退したこと自体忘れられているが。

もちろん、その陰には召集の声さえかからなかった日本人メジャーリーガーも結構いる。
彼らはメジャーといえども日本のプロ野球のトップクラスよりはやや落ちるという評価だったということだろう。
松井稼頭央とか田口壮は今回の結果をどう思ったのだろうか。
タイガース出身では藪恵壹もいたなぁ。今やマイナーだけど。

不参加といえば、世界一優秀な審判といえるメジャーの審判団が不参加だったというのもがっくりである。
おかげであのヘボ審判騒動である。

何度も言うが、こんな様子では次回があるのかどうか本当に心配である。
他のスポーツのように、アマチュアの上にプロがあり、プロもアマチュアもひとつのコミッションがまとめているというなら簡単である。
しかし、野球は違う。
アマチュアの上にプロがあるのではなく、アマとプロが並立している。
アマとプロの引き抜き合戦みたいなことまで起きる。
結局野球が五輪から外されたのも、このシステムに起因する部分が大きいのではないかと思う。

そういう意味では野球にはワールドカップよりもチャンピオンリーグ的な、「真・ワールドシリーズ」として世界各国のチャンピオンチームを集めて世界一を決めた方がすっきりするんだろうか。

多分やってもコケるような気がしてならないが。

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20 March

WBC日韓戦、コトの発端はアメリカ

忙しくてブログも更新しないうちに運よく決勝トーナメントに進み、あっけにとられているうちに韓国に勝っていた。
そうだよな、勝つときはこんな感じだよな、といった感じ。

これまで2回の韓国戦は、去年の日本シリーズの「どうしてもロッテに勝てなかったタイガース」を見ているようで、とても歯がゆい思いをしたが、勝ったら勝ったであっけない。

しかし、韓国としても納得の行く敗退ではなかろう。
いろいろと政治問題やら戦後補償問題やら反日やら嫌韓やらあいまって日韓戦が語られているが、コトはいたってシンプル。
同じ相手に3戦当たって2勝1敗なのに相手は決勝、自分は敗退なんてシステム、納得いくはずがない。
そんなの、もし逆の立場であったら、と考えれば自明である。

そもそも、システムが普通じゃない。
スポーツの国際大会では、組を2つに分けてベスト4を決めたら、普通クロストーナメントで決勝に進む。
A組1位とB組2位、A組2位とB組1位が普通である。
また、1次リーグから2次リーグに進む際にも、1次リーグの成績によってリーグを分け、2次リーグでは同じ相手と当たらないよう配慮するものである。

ところが、今回のシステムでは日韓はずっと一緒にリーグ・トーナメントを上がっていくのである。
そして毎回顔を合わせ、そのたびに試合をするのである。

そもそも、なんでこんなおかしなシステムになったのか。
実はアメリカの差し金だったと思われるフシがある。

朝鮮日報日本語版で「【WBCコラム】世にも珍しい試合方式で消えた優勝 」という記事を見つけた。

『スポーツ朝鮮』のキム・ナムヒョン特派員は言う。
「アメリカが主導した今回のWBC。世にも珍しい試合方式のせいで韓国は最大の犠牲者となった。(中略)
 ほとんどすべての国際大会では組を2つに分けて進行し、ベスト4が決まったらクロストーナメントで決勝に進む2チームを決める。しかし大会初めての年に無理に欲を出した米国は、同じ組のチーム同士を再び準決勝で戦わせる日程を採択した。2組の最強チーム、ドミニカ共和国に決勝戦まで会わなくて済むように、という意図以外に説明のしようがない。 」

この一節を読んでのどのつかえが取れた気がした。
ははぁ、そうか。そうなのである。
中米の強豪国と当たって予選であっさりアメリカが敗退したら面白くない。
そこで、「勝てそうな組」で「何度でもチャンスをもらえる」ようなシステムを作った、と見えなくもない。

ところが、結果は予選敗退という惨憺たるモノであった。
その上観客も入っていないし、TV中継もされていないというではないか。

キム・ナムヒョン特派員は続ける。
「日本は韓国よりプロ野球の歴史が50年も長い。高校だけで約4700チームもある日本と、50前後しかない韓国では、基本的な資源からして相手にならない。だから客観的な戦力に優れた日本に二度連続で勝ったことさえも奇跡のような出来事だった。

 奇跡は三度はやって来なかった。2次リーグ以後2勝2敗の日本が決勝でキューバと試合をすることになった。欲をかいた米国はベスト4にも上がれずに恥をかき、大会最大の波乱を巻き起こして興行を引っ張った韓国は悔しいことに帰り仕度をする羽目になった。WBCの制度的な矛盾が韓国野球100年史の快挙の足を引っ張ったことになる。それでも幸いなことは、韓国野球の隠れた底力は今や全世界から認められたのだ。 」

このあたり、韓国にしてはずいぶんと控えめな発言にまず好感を持った。
と同時に、そのやりきれなさがそこににじみ出ているような気がして同情した。
仕方ない、彼らの無念を晴らすためにも優勝しようではないか。

ところで、がっくりと肩を落として帰る韓国代表を見てあれ?と思った。
なぜか3位決定戦がない。
この大会、どこか抜けている。

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17 March

WBCについて語る

ちょっと小ネタで。

世界ボクシング評議会は、World Boxing Councilの頭文字をとってWBCである。
このWBCとWBCのネタはもうさんざんあちこちで使われ、もはや使い古されているので心苦しいが。

もちろん、今回はそっちの話ではない。
野球のほうである。

残念ながら韓国に負けた。
惜しい負けだった。
エラーとかスタンドの客に捕球を邪魔されたりとかいろいろ不運な点があったのは事実だ。
また、アメリカ戦での敗戦も不可解な判定などもあって、後味が悪かった。
どちらも力が及ばなかったとは思えない、すっきりしない負けだった。

でも、それ以前に日本代表がなんだかちぐはぐだったのも事実だ。
そもそも、今の日本を代表する最強チームという感じがしない。
なんとなく安心して見ていられない、ちょっと線の細い感じのチーム構成だ。

確かに松井秀喜があんな薄情な男だとは思わなかったが、かといって彼一人がいないからどうだというわけでもない。
そのほかにもいなくても目立たない井口や田口、松井稼頭央のような半端なメジャーリーガーたちも不参加だし、日本一の捕手・城島がいないのもいただけない。また、日本のプロ野球界からも盗塁王赤星がいなかったり、今岡とか金本のような怖いバッターを欠いている。
例としてあげる選手が多少タイガースに偏向しているが、いずれにせよラインナップが十分だと思えない。

調子が上がってきていない選手も多いように感じる。
わがタイガースの久保田もキャンプ中からピリッとしなかった。
藤川は二段モーションを修正してからいまいちだった。
ううむ、やっぱりタイガースか。

何もかも初めてづくしだから仕方ないのかもしれないが、審判の国籍の問題や予選グループ分けの不完全さなど、事務局の運営も含め、課題も多い。
もう少しブラッシュアップの必要がある大会だと感じた。

だから、一方でもう二度とやらないかもしれないという予感を禁じえない。
もったいないなぁ。

さて、とりあえずあとはメキシコの勝利を祈るのみである。
もうちょっとだけ日本代表が見たい。
そして、王ジャパンの本来の力が見たい。

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