Complete text -- "プロ野球中継が視聴率を取れないワケ"

28 April

プロ野球中継が視聴率を取れないワケ

シーズンが始まると、ウチではタイガース戦ばかり観ているわけだが、そのほとんどがスポーツ専門チャンネルの中継である。
自分の住む地域では巨人戦と一部の横浜戦を除き、タイガース戦が地上波TV中継されないこともある。しかしやっぱり試合開始から試合終了まで必ず中継するスポーツ専門チャンネルで、要は金を多少払ってでもちゃんと観たいのである。

スポーツ専門チャンネルは万全ではない。
ヤヤコシイ権利の関係で、一部の中継は観られなかったりする。
その原因のすべては地上波の横暴によるものであり、視聴者あるいは野球ファン不在のその行動は目に余るものがある。

通常、TVの野球中継とは7時から9時まで放送される「巨人戦」のことである。(そもそもそれがおかしいのだが)
その他のチーム同士の試合野球中継とみなされていないため、放送されることはない。(公平さを保つ意味でかNHKだけは時々放送する。BSも含めると他球団中継を流す機会は結構多い。)
ここ数年、巨人人気の一極集中に陰りが見えてきたために、野球中継の視聴率が取れなくなり、各TV局は延長中継をやめたり、優勝戦線から巨人が離脱すると放送を取りやめたりするようになった。

これは野球中継自体に影響を及ぼし、それぞれ巨人戦のワクで他球団の試合を中継していた地方局も困ってしまう。
東北での楽天、九州でのソフトバンク、広島の広島、名古屋で中日、関西で阪神と、それぞれ地域球団の中継は巨人戦よりもその地域では視聴率がとれるのだが、地上波で巨人戦中継を取りやめられてしまうと、流すワクが取れない。

さらに、野球ファンは野球を観たいのに、TV局は野球を見せない。
<以下[Read more of this post]以降に続く>

たとえば、NHKで放送する日は7時から7時半までニュースでつぶされる。その時間の中継は、NHKの意向によって公開されないのである。
また、トップ&リレーナイターというのもある。地上波が流す7時から9時の中継は地上波が独占、それ以外の6時からの試合開始と9時以降の地上波が延長しない時間帯の中継のみを独立U局やCSで放送するのである。
ところが、地上波が権利を独占、トップ&リレーもさせないこともあるし、さらに困るのは数字が取れないからという理由で権利を持っているのに地上波が中継をやめてしまい、どこにも放送させないうケースである。球場以外ではどこでも観ることができない。

こういった不具合はおそらくスポーツ専門チャンネルの働きかけもあってかとは思うが、ここ数年で改善され、ほぼすべての試合がCSやケーブルTVで見られるように整備されてきた。
もう、単純に野球が見たい野球ファンは、地上波でしか観られないから仕方なく地上波を見ていたのであって、金を払っても野球だけ見せてくれるチャンネルがあるならそちらについていくのである。
事実、うちではもう試合開始前の映像からチャンネルはスポーツ専門局のまま、試合終了まで変えない。たとえ地上波で中継があってもわざわざそっちを観るのも面倒なのである。

そんなCS生活に慣れたところで、ここ2日ほど久々に権利の関係でトップ&リレーで阪神−巨人戦を地上波で見ざるを得ないことになったが、地上波の野球中継のひどさに驚いた。
今までいかに顧客不在のTV中継を見せられていたかを実感したのである。特に読売(日本テレビ)がひどかった。
地上波TV局は、視聴者が見たい映像なんて全く提供していない。視聴者の顧客満足(違う意味でのCSである)を全く考えていないのである。おそらく、彼らの顧客は金を払っているスポンサーなのであろう。視聴者は顧客なんかではないのである。

例えばこんなことである

・試合が再開しているのに中継そっちのけでタレントを呼んできて、自局の番宣をする(その間タレントを映しっぱなし)
・今年から試合のスピードアップを目的に、回の合間、表裏のインターバルが2分程度に抑えられているのに、15秒CMを8本押し込む(回の頭のプレーは絶対中継できない)
・試合の中継を主体としていない。星野JAPANのエースの不調は確かに問題だが、ベンチに下がった投手をいつまでもアップで映し続け、その間のプレーを見せない。
・CMでCS放送のCMが流れまくり。「大事なところで野球中継放送終了するのがいやなら、CS放送を観よう!」という内容。地上波を今観ている視聴者に対してあまりにも無礼。

せめて回と回の間や、プレーとプレーの間、次のボールを投げるまでの間に視聴者が飽きないようにカットカットで映像を挟むというなら分かる。
しかし、中継であるにもかかわらず、大事なヒットを打つシーンを犠牲にするほど重要なカット映像などあるはずがない。それどころか、野球ファンはできればすべての投球を見たいのである。
この間の悪さは、おそらく制作側が野球中継慣れしていないというのも一因ではないかと思わせた。特に、ここ数年スピードアップしてきた野球の「間」に十分に対応できていない。

また、バラエティ番組の成功で、今のTVはすべてにバラエティの手法が入り込みすぎている。バラエティの手法を入れれば数字が取れると勘違いをしているのである。
そうじゃない。いま、視聴者が何を求めているのか、その番組を見たいと思ってチャンネルを合わせてもらうためには何が求められているのか、制作側は十分に考えるべきである。

こんなプロ野球中継がつまらないのは当たり前である。番組づくりの方向性が間違っているのである。
巷間で言われているような野球人気の凋落なんてのはウソである。
巨人の人気が落ちてきたことと、中継がつまらないのが原因である。
このままなら今後も視聴率は下がり続けていくと思う。たぶん、地上波から野球は消えてしまうんじゃないだろうか。

行く末が全く心配である。

ところで、TVはやいやい言われているが、ラジオのほうはあまりなにも言われないのはどうなんだろうかとふと思う。
人気の落ちてきた巨人戦偏重が解消されなくても問題はないのであろうか。
この間も、神宮球場で回の合間に流される「ニッポン放送ショウアップナイター」のCMで、ヤクルトの青木選手が「(自分のことを知りたければ)ショウアップナイターで聞いてください!」とコメントしているのを見て、資本関係にあるにもかかわらずヤクルト戦なんてちっとも放送しないニッポン放送の中継なんか聞いて、お前の何がわかるんだ、と思わず突っ込まずにいられなかったものである。
ラジオも聴取者のニーズを敏感に汲み取っていかないと、忘れ去られていくご臨終メディアとなりつつあるのだが、危機感が感じられないのはなぜなんだろうか。
不思議である。

00:00:00 | victor | | TrackBacks
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